あいそぽっど

ワラダンの観察や飼育についての備忘録

ハマダンゴムシの飼育環境を考える

はじめに、本記事は筆者の独自の考察のため真似しても確実にうまくいく保障や正確性はありませんのであらかじめご了承したうえでお読みください。

なぜハマダンゴムシの流通は少ないのか

様々なカラフルなダンゴムシが流通している中、未だにハマダンゴムシのCB個体の流通がほとんどないのは繁殖の難しさ(コストの高さ)にあるようで、他のダンゴムシと比べて生息環境が特殊であるため、飼育する際に何が必要で何が不必要なのかがまだ明確にわかっていない、というのが最大の理由ではないかと思っている。(個人で増やしている人はわかっている可能性はあるが)

成体の飼育自体はそれほど難しくないと聞くが、繁殖に成功したという話はあまり聞かないのでたぶんそういうことだろう。

また、海水や砂等など通常のダンゴムシとはまた違った、準備が面倒なものが必要になってくることもあまり人気が出ない理由の一つになっているんじゃないだろうか。

どれだけコストをかけずに飼育繁殖できるか

よく聞くハマダンゴムシの飼育方法として、採取地の砂を使用することが多いが、正直海が近くない人はもちろんのこと定期的に海まで出て現地の砂をとってくるのはコストがかかる上、砂のみで飼育しようとするとかなり扱いづらく環境の調整が非常に難しい。

リセットのたびに現地まで砂を取りに行こうとすると、ヤフオク等で購入した場合は詰んでしまいかねない。

 

自分は生物を飼育するうえで、どれだけズルして低コストで飼い続けるができるか、が重要だと考えているので、できるだけ現地まで取りに行ったりする必要がなく、近くのペットショップやネットショッピングで揃えられるものを使って飼育できるかを考えていく。

 

ハマダンゴムシの生息環境を考えながら飼育環境を作る

採取する際に採取地の情報をなるべく記録し、如何に飼育下で再現し、コストを下げることができるかを考えながら飼育環境を作っていく。

床材

ハマダンゴムシを飼う上で一番問題になるのが床材の選択じゃないかと考えている。

現地の砂を使えば確実じゃないかと思うかもしれないが、じゃあ現地の砂を使えば飼育下でも同じ環境が用意できるか、といわれるとそういうわけにもいかない。

砂のみだとどうしても加水する際の加減や床材に吸収されきれなかった水がそのまま腐ってしまったりハマダンゴムシが溺れてしまう原因にもなりかねない。

これはハマダンゴムシを採取した場所の砂を記録したもので、砂というより砂利に近いという印象。
これを基準に床材を探し、ペットショップでメダカ用の砂利を見比べて近いものを購入。

そこに給水材として爬虫類用のヤシガラマットを混ぜたものを床材として準備した。

ヤシガラマットを混ぜることによってある程度の水分を吸収し、ケージの底で水たまりができないように。

また、床材の湿り具合が色で容易に判断できるので給水する際の目安になる。

 

そしてここに床材内の水分をアルカリ性に傾けるためのサンゴ石をいくつか埋め込んだものを床材とした。

 

給水口

一般的なダンゴムシの飼育でも、ケージ内や床材内の水分はある程度時間が経つにつれて失われていくので定期的な給水が必要になるが、その方法が通常のダンゴムシ飼育と異なる部分であると考えられる。

 

海岸で砂を掘ってみればわかると思うが、表面は非常に乾燥して見えていても少し掘るとかなりの湿度を保っている。

 

通常のダンゴムシの場合、適湿な環境へ移動するのに左右の移動を行うのに対して、ハマダンゴムシの場合、日中は基本的に砂の中に潜っているため、上下の移動を行って適湿な環境へと移動すると考えられる。(そもそも左右に移動したところで適度に湿っている砂浜はそうそうない)

つまり、通常のダンゴムシ飼育で行われるように横に湿度勾配をつけるのではなく、縦に湿度勾配をつける必要がある。

 

また、表層から注水してしまうと潜っているハマダンゴムシが溺れてしまう可能性があることや、砂浜のように下に行けば行くほど湿っているという環境を作るためには下から給水しなければならないということを踏まえて給水口を作っていく。

 

といっても特に難しいことをするわけではなく、普段採取に使っている遠沈管をぶった切って埋めるだけ。

あとはここから水を注げば下から給水することができる。

遠沈管の中にハマダンゴムシが迷い込まないように底面ぎりぎりまで埋めておくと安心できそう。

 

どれくらい床材を湿らせるか

海岸のように完全に乾燥したような層は正直作る必要ない気がしている。

ハマダンゴムシの飼育に挑戦している記事等をみると、床材内の水分が多すぎて呼吸ができなくなると昼間でも表層に出てきて歩き回っているようなので、昼間でも出てこない程度なら湿らせてしまったほうが逆に安心かもしれない。

 

餌と塩分

ハマダンゴムシは海岸棲なのでやはり塩分が必要になってくる。

が、どれだけの塩分があれば大丈夫なのかがわからない。

海水を使えば確実だが、海水を使うとなると、海まで取りに行くか自分で作るかのどちらかになってしまい、定期的に(水がきれいな)海まで行ったり、必要分作るにしても売っている海水用の塩は大容量のものばかりなうえ、濃度を調整するのが面倒くさい。

ここではどれだけコストをかけずに飼育できるのかを考えるため、海水はなるべく使わない方向で考えていく。

 

そこで目をつけたのが乾燥わかめ

乾燥わかめにはそれなりの塩分が含まれているため、餌として乾燥わかめを水で戻したものを与え、その際使った水を給水に使えば海水がなくてもある程度塩分が補給できるのではないかという魂胆。

 

採取して一か月程経つが、今のところ問題なく飼育できているため、もしかしたら塩分に関してはこの程度で十分かもしれない。

しかし、長期的に見た場合や子供が生まれた場合などはその限りではない可能性もあるので、結果的にやはり海水を使わなければならなかったということになる可能性もある。

 

嗜好性については申し分なく、ちょっと多めに入れすぎたかな?と感じるくらいの量でも数日で無くなってしまうくらいにはよく食べる。

 

床材内の酸素について

日中ほとんど床材の中に潜っているハマダンゴムシも呼吸をするのである程度床材内に酸素が必要ではあるが、床材に混ぜているヤシガラマットのおかげか、ハマダンゴムシが潜るために掘った穴が適度に残っているためそこまで心配する必要はなさそう。

もし心配なら固形の土壌酸素供給剤なんかを埋めておけばどうにかなりそう。

ここは様子を見ながら必要に応じてこれから追加していく予定。

 

温度

温度に関しては日本各地に分布する関係上、越冬することも可能なので特に気を遣うことはせずに室温飼いする方向で考えている。

真夏の海岸の猛暑と冬場の極寒にも耐えられるならそこまで気を使う必要はなさそう。

 

完成した飼育環境

全体的に湿らせるために給水口はど真ん中に刺し、打ち上げられた海藻をミズゴケで再現。

あとは水で戻したわかめを無くなるごとに足していき、床材の湿り具合を見て適宜餌を足すときに合わせて注水していく。

かなり湿っているようにみえるが、日中ハマダンゴムシが表層に上がってくることはなく、夜になるとワラワラと出てきて歩き回っている。

しばらくこの状態で様子を見て随時わかったことなどは更新していこうと思います。

 

床材の環境を整えるのにイソミミズなんかも一緒に入れたりできたら面白そうだな~と考えてみたり。